【 第三回派遣 】2016.6.14~20 (石田・佐藤・西田・安福)

・実施した内容

炊き出しの手伝い、パティシエによるお菓子の炊き出し、神戸市立西舞子小学校から西原村立山西小学校へ預かった寄付金の受け渡し、避難所等の慰問コンサート、被災家屋の片付け、被災地の商品買い付け等

・主な活動経過
今回は神戸の有名洋菓子店に就職するパティシエと、一級建築士(本業はデザイナー)がメンバーに加わり、それぞれの専門分野を生かした支援活動を行いました。



避難所での日常的な炊き出しは、熊本県内の避難所で食中毒が発生して以降、原則禁止となってしまいましたが、たんぽぽハウスでは震災前から外部の人に向けてランチ営業を行っていたことから、炊き出しの代わりに震災復興特別価格(100円~)でランチの提供を始めました。また、子ども食堂も再開し、震災で生活が苦しくなった家庭の支援につながっています。こうしたたんぽぽハウスでの被災者支援活動を支えるボランティアの需要は高く、私たちもそうした手伝いをする班と、家屋の復旧作業を手伝う班の二手に分かれて活動することにしました。









パティシエによる洋菓子作りは、単なる提供にとどまらず、熊本県内の食材(阿蘇牛乳や落花生)を生かした独自のレシピ開発にも及び、将来的にそれを地元の特産品として販売し復興の一助としてもらえたらという話にまで発展しています。


・現地で気づいた事
家屋については依然としてブルーシートや瓦礫撤去のニーズが多く、専門業者を頼もうにも人手不足でいつまで待たされるかわからない、一般のボランティアは危険作業に従事できない、その狭間で困っている被災者は少なくないようです。

西原村の主な産業である農業の現場では、震災復旧のため人手不足が発生しています。しかし、作物は人の都合を待ってくれません。時期を逃しては作れなくなりますし、収穫時期を逃しては商品になりません。もしそうなればさらに生活再建の遅れるリスクが高まります。そこで、同村では災害ボランティアセンターに加えて農業ボランティアの窓口が開設されました。そうした人手のニーズに加え、収穫した農作物の販路も新たな課題となっています。たんぽぽハウス同様、近隣の販売窓口が被災したために販路を失ってしまい、せっかく収穫時期を迎えてもそれを売ることのできない農家の方が多数おられます。現地に知り合いが増えたことで、そうした地元の声を色々知ることができました。
また、炊き出し終了後も、避難所では炊き出しに代えてコンビニが委託を受けて菓子パンやおにぎり、お弁当などを配給していますが、実際には温かいもの、野菜や魚中心のあっさりしたものなどの炊き出しの方が喜ばれていました。食中毒のためやむをえないものの、こうした声に応える必要性を感じました。

・活動により達成された効果等
これまで活動を継続してきたことや、SNS等を通じて情報発信し、支援を呼びかけてきたことが奏を功し、パティシエや一級建築士といった専門家が現地で活躍してくれました。さらに、神戸市立西舞子小学校から寄付金を託したいとのお申し出もいただきました。また、単に作業を手伝うだけでなく、新たなメンバーによる別の視点が加わったことで、復興へ向けた課題や支援のあり方について様々な議論をすることもできました。私たちは助成金を得て活動している以上、目に見える効果を出すべきなのはもちろんですが、それに加えて次の復興フェイズ、次の災害の備えに繋いでいくためには、より多くの人に「他人事ではなく自分事」として考えてもらい、巻き込んでいくことを重要視しています。個人の能力には限りがありますが、関わる人を増やすことで、支援の申し出や新しいアイデアをもらうことができつつある状況にとても感謝しています。